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「和える」CEO矢島里佳さんバルセロナで講演

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0から6歳向けに日本の伝統工芸品を子供たちに届ける株式会社「和える」(あえる)のCEOで、「第4回女性新ビジネスプランコンペティション」で女性企業大賞を受賞した矢島里佳さんが、バルセロナにあるカサ・アシア本部で講演を行いました。




「和える」のロゴは、見ての通り日の丸をイメージした物、その横に隠れているのは、先人の知恵と今を生きる人をイメージした物。 それが「和えてある」ことで、「次世代へ日本の素晴らしい伝統工芸を伝えていこう」という想いがこのロゴにあるとのこと。




「和える」の最初の商品は藍染の「藍染出産祝いセット」。 これは、藍染の「あい」と、愛情の「あい」を掛け「和わせ」、生まれてきた子供に「あい」情で包んであげたいとの気持ちから生まれたもの。 藍はUVカットや、虫よけ、傷口の悪化などを防ぐものとして農家や、武士に愛用されてきたもので、先人の知恵が詰まったもの。 



しかしながら、日本は戦争中、食糧不足から、食物以外の農作物の栽培を禁止していた歴史があり、アイが絶滅の危機に瀕していた。 しかし、ある女性が一人でアイを隠れて栽培しており、終戦後すぐに藍染が出来るようになったとのこと。 


この様に、日本は知らず知らずのうちに伝統が失われていることに危機感を覚えた矢島さんは、大人が子供たちに伝統を伝えていくことが出来るよう、「和える」を設立した。




他にも「こぼしにくいコップ」シリーズをリリースしており、赤ちゃんの小さい手でも持てる、「職人が魂を込めて制作した」コップを販売している。 今日、子供に与えられるモノはほぼ全てが壊れにくい素材で作られているが、このコップはわざと「壊れる」(壊れやすいわけではない)素材で作られている。 「本当の安全は何か」という原点に立ち返り、「モノ」は「壊れる」ということをなるべく小さいときに学んでほしい、そして物を大事に扱うという心を育んでほしいという願いからこのコップは誕生した。 


このコップは定価5千円ほどする。 「和える」は、コップを壊してしまっても、新しいコップを客には販売せず、「金継ぎ」を勧める。 ものが壊れても「捨てる」のではなく、「直す」ということを一番に考えてほしい、そして、そのコップを一生使い続けてほしいという願いが込められている。 




また、「和える」は幼児が使いやすいようなお皿も販売している。 お皿の内側に「返し」があり、スプーンで食べ物をすくうとき、お皿の外に食べ物がこぼれることなく、うまくスプーンに乗せることが出来る配慮がなされている。 矢島さんが語ったエピソードによると、ある父親が1歳半の子供に食事を食べさせようとしたが食べようとしなかった。 おなかがいっぱいなのかと思ったら、子供が「自分」で食べ始めた。 幼児でも、自分が出来ることは自分でしたい、その気持ちを大切にしたいと矢島さんは語った。 


またこのお皿は介護の分野でも人気が出ており、職人が作ったその器は見た目も美しく、自分で食事がとりやすくなり、介護士の手を借りなくても食事が出来ることから「自尊心」を傷つけることが少なくなったという。




「和える」の製品は、「伝統技術」「感性価値・機能」「現代デザイン」の三つを統合した物。 製品を製作する時に一番大切にしていることは、絶対にぶれない「目的」を持つこと。 まず、「なぜこの製品を作るのか」を明確にすることが重要だという。 商品のデザイン段階からその「目的」をデザイナーに何度も説明する。 デザインが上がれば今度は職人にその「目的」を何度も説明する。 そんな地道な活動が素晴らしい商品の完成に寄与している。 


矢島さん曰く、ものが売れなかった時代、日本政府は職人とデザイナーを結び付け、新たな伝統工芸品の販売促進に力を入れていた時期があった。 この時期のデザイナーたちは、商品のデザインをしただけでデザイン料を得る。 そのデザインをもとに職人たちがその技術を使い商品を作り上げる。 その商品がヒットすればよいが、多くの場合、職人が在庫を抱えてしまう事態に陥り、結果的に倒産することも少なくなかった。 


そこで「和える」では「販売する責任」を取ることを決意。 「和える」が欲しい、売りたいと思った商品をデザインして、職人に製作してもらった物の在庫を抱えるのは当然のことだという。 


「和える」は一つの商品開発に一年以上かける。 セールや、季節ごとに商品を入れ替えることはない。 これは、「和える」が消費者を探しているわけではなく、またお金儲けをしているわけではない、つまり日本人の「生活」を形作っていきたいとの思いがあるからだ。


矢島さんは日本を「経済大国」から「経済文化大国」へと変えていきたいという壮大なコンセプトを胸に抱いている。


オンラインショッピングから始まった「和える」は百貨店から直営店を持つまでに至り、今度は京都にも出店する予定がある。  


お金儲けが目的となりがちな現代の企業活動において、「企業の目的は顧客の創造」と言ったドラッガーの言葉を思い出す。

是非、一生ものの器を子供にプレゼントしてみてはいかがだろうか。


「和える」

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